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第二章・それでも俺は、貴方に付いて行く
何かを護る為に、僕は強くなろう。

誰かを護る為に、僕は強くなろう。

貴方を護る為に、僕は強くなろう。



大切な人達を護る為だけに、僕は強くなろう。



***



「こりゃあ…ひでぇ有様だ」

「ある程度は予想していたけどな。」


姫と騎士副団長の二人と別れ、龍帝国の首都に着いた旅人二人は各々呟いた。

はぁ、と溜息をつく少年……シオンは目の前の惨状を眺めやる。

赤い、緋色の劫火。

城下町を舐めるように焼くそれは、戦火の炎。

ある程度予想はしていたが、これは酷い。復興までに相当な時間がかかるだろう。


「ったく、帝国二千年の歴史を好き勝手に破壊しやがって…」

「二千年も前のものなのか?」

「何度も改築したり整備したりと大変だったけどな。質素な感じだけど、なかなかいいだろ?」


そうだな、とレスは言う。

街並みの基本的な材質のほとんどは赤茶けた煉瓦。多少質素な感じはするが、幾分の隙も無く綺麗に整備されている。

いつぞやに行った某国の豪奢な街並みよりは、ここの方がレスの好みに合っていた。

まあそれも、すでに破壊されてしまったものだが。


「所で」

「ん?」

「さっきはあえて突っ込まなかったが…守護者ってなんの事だ?」


ああ、とシオンは答えた。

首都から少し離れた街道で出会ったシュール姫。

彼女は、シオンを見て「我が国の守護者」と言った。

我が国とはつまり、龍帝国イー・ヴァー・ディドル。この国の事だ。

二千年も栄えたこの帝国の守護者。そう呼ばれるほど、この少年の地位は高いのだろうか。


「大した意味はないよ、10年もほったらかしにしちゃってたんだし。ミオにまかせっきりだったし」

「10年も…って、お前何歳だ」

「さぁ。数えるのも面倒になっちゃったから覚えてないね」


目の前の少年はどう見ても15、6程しかない。

10年前とすればほとんど何もできない子供じゃないか。

ひょっとしたら、シオンの正体は実はもっと年長者で、今の格好は仮の姿なんだろうか。

ありえないことは、ない。

力のある魔道師は自分の姿も変えることができるというのだから、シオンだってきっと。

だって、彼も本職は魔道師なのだから。

何だか目の前の少年が得体の知れない怪物にも見えてきた。


「…………あんたに付いていっていいのか、心配になってきたよ」

「それでも付いてくるんだろう?」

「まぁな」


記憶を無くして右も左もわからなくなった俺を拾ったのは、シオンだ。

だからその事に恩義もあるし、それに、どうせ行く当ても無いからシオンの旅に付いて回っている。

微妙な信頼関係で俺達は共に戦い、旅をする。

それでも俺は、


「信用してるからな」


少年はにやりと笑って、燃え盛る城下街へと駆けて行った。



***



戦火の炎は意外にも、奥の方が弱かった。

今の所一番被害を受けているのは首都を護る城壁付近のようだ。城付近はそうでもない。

けれど、放って置けば被害は更に広がるだろう。

奥へと進むのと比例して、帝国騎士と敵兵の数は増えていく。


「おい、あれ助けないのか?」


ふと、レスが訊く。

あれとはさっきすれ違った、敵兵と戦っている騎士の事だろうか。二対一でパッと見た感じ不利になっている。

が、その騎士は飄々とした顔で二つの剣を一つのハルバート(斧槍)で受け流していた。相当の実力を持っているらしい。


「いちいち助けるのか、時間がかかってしょうがないだろ。それに助ける必要も無いみたいだし」

「いや、騎士じゃなくて。騎士の後ろに一般市民がいるんだよ」

「一般市民?」


彼らのポリシーとして、救助の優先順位は武力を持たない人間が最優先と決まっている。

この場合、敵兵は含めないのは当たり前だが、武装した人間も含められるのが彼ららしい所だ。

出張るのは好きではないが、弱者は守るのが当然だ。

渋々速度を落とさずにUターンして戻ってみれば、確かに、先程の騎士と相乗りする女性が一人。

どう見ても非武装の女性は、眼鏡をかけた生真面目そうな黒髪の人だった。この状況でも慌てた様子は微塵もない。

この場にいる人間の中で、血相を変えたのはただ一人。


「レス、助けるぞ!!」

「は?」

「いいから助ける!!」


ばん、ばんとレスの背中を叩いて駆けていくシオン。その顔は珍しく慌てた様子だった。

レスはその態度の変わりように対して、「は?」と言ったのだ。決して救助に不満がある訳ではない。

知り合いかと訊けば、シオンは答えなかった。

何故ならば、その時にはもう呪文の詠唱を唱えていたから。


「荒ぶる神よ、精霊よ。我が名の下に、集え、集え」

「……」


しかも、それは上級の凶悪な攻撃魔法ではないか。

レスは聞いた事のある詠唱を耳にして追いかけるのをやめた。巻き込まれるのは御免こうむる。


「我が前に人在らず、我が前に敵在らず。吹き飛べ!嵐砲!!」


シオンの目の前で空気の塊が球状になり、轟音を立てて敵に突進して行った。

それは拳大の小さなものだったが、威力は嵐を凝縮したようなものだった。

塊が敵兵の一体に触れた。

途端、敵兵は塊に押され、もう一体を巻き込んで吹き飛び、建物に衝突して崩れ落ちた。

その体は二体とも、五体不満足。どう見ても生きている様子はない。


「アロド、デン、無事か!?」

「シオンさん酷いっすよー、さっき俺の事無視しましたでしょー」

「お前だけならとっととミオの所に行ってた。…アロド、大丈夫か、怪我はないか?」


珍しくおろおろとしているシオンを見て、レスは小さく笑った。

本当に、珍しい。

いつもなら、自分が相手だったら、怪我をしていても唾つけときゃ治ると言って放って置くのに。

そんな事を思い出しながらまた笑う。


「あっはっは、心配しなくてもいいですよー。俺がちゃーんと守っておきましたからね」

「お前だからこそ、余計心配になるんだよ!」

「だ、大丈夫ですからっ!閣下が付いてくださいましたし、私はもう一人前の符術士ですからっ」

「いいや心配だ、念の為に回復魔法を…」

「いいですからっ!!」


戦場なのに、この穏やかさは何なのだろうか。

疎外感を感じつつも、思わず顔が綻ぶ。

こうして見ると普通の少年なのに。

戦っているときは、敵の体をバラバラにする程、容赦も何も無い凶悪な人間なのに。

まるで人間でないような破壊力を持った、化け物染みた奴なのに。


それでも、俺は。


あんたが本当は誰よりも優しいって事を知ってるから、付いて行くんだ。










そ れ で も 俺 は 、 貴 方 に 付 い て 行 く 。



+++

レス視点の第二話でした。
とりあえずアロド&デンと合わせてみました。
そしてササミのデータがぶっ飛びましたorz
ちくしょう、第五話まであったのに。

今更だが、実はシオンのキャラがいまいちわからない私(殴)
だって色んな「シオン」がいるんだもの!

07/2/18




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