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第十三章・錆色ノスタルジア
あの日、貴女に会えてよかったと今では思う。
でなかったら貴方と貴方には会えなかったから。
そうでなかったら俺はきっともうここにはいなかっただろうから。
貴女はとても厳しい人だけれど、それでも恩人だと胸を張って言える。


ありがとう。


気恥ずかしくて言えないけれど、そう思っているから。



***



出生だとか、神国だとか、シュティーナの事まで…幾ら何でも欲張りすぎじゃないか?
…まあ、確かに。今まで何も話さなかったしな、この位は欲張った内には入らないか。
わかった、話すよ、とりあえず皆そこらへんに座っててくれ。
あ、シュティーナは外に出てて。…いや、色々と気恥ずかしいっていうか、あんたのいる前でそんな話してても…。
ああもういいから外出てってくれ!あることないこと話すな!!そんな事した覚えはないっ!!


…ふう。
皆座ったな?よし。


今から五千年も前の話になる。いや、それ以上前かもしれない。
幻獣保護地区島、通称「緑の杯」…昔はそんな名前すらなかったけれど…そこに龍族が住んでいたっていうのは知っているよな?
何らかの理由によって滅んだって言われている。俺も理由は知らない、父さんは教えてくれなかったから。
その龍族が滅ぶ前、どれくらい前か知らないけれど、一人の龍が「杯」から出て行った。
…ん、龍は「一人」って数えるのが正式な数え方だよ?
あんな狭い島に巨体の龍がごろごろいる訳ないだろ、普段はヒトと変わらない姿をしているから「一人」って数えるんだ。
話が逸れたな。
その龍は元々龍族の族長をしていた。龍族の中でも最高の魔力量を持った男だった。
ああ、よく知ってるなフォクス。龍族の長になれるのは、龍族の中でも最高の力を持つ銀龍だけだ。
もちろんその男も銀龍だ。
……察しがいいな。そうだよ、その男が俺の父親。名前はジオルガ。ジオルガ・ハーティリー。
龍は個体数が少なくて姓は持っていないはずなんだけれど、人に紛れて生きなきゃいけないから自分で作ったらしい。その話は後に話すよ。
で、ジオルガは何故「杯」を出たかっていうと…簡単な話、龍族から追い出されたのさ。
ジオルガは情けない男だった。俺の記憶の中でも、母さんにこき使われていたって事ばっかり出てくる。
誰よりも強大で強力な魔力を持っていたのに、争い事が苦手で、そのくせ理想論ばかり話す、優しすぎる男だった。
対して、普通の龍っていうのは基本的に戦闘意識が強くて、少し傲慢で、頑固者揃いなんだ。
ジオルガが「杯」を出る前、その頃龍族の中ではある問題が起こっていた。
俺も何なのかは知らない。父さん、それについては絶対に話そうとしなかったから。変な所で頑固なんだから。
とにかく、その事で他の龍と対立しちまって、あまりの頑固者揃いにあきれて「杯」から出ていっちゃったらしい。
その問題が後に、龍族を滅ぼした理由になったらしいんだが…やっぱり話してくれなかった。
それから、ジオルガは「人として」あちこちを旅して回った。
幻獣に始まり、龍も例外じゃなくて、昔から「杯」に住む生物はよく良薬や魔法具の材料になったのはわかるな?
まあ龍が薬の材料になるっていうのはデマカセなんだが…。
だから、龍として狩られる事を恐れてジオルガは人っぽい姓を自分で名乗ったんだ。
ジオルガはあちこちを旅した。よく行き倒れていたらしいけど、持ち前の悪運で何とか生き残ったって笑っていたよ。
ははは、確かに。行き倒れ癖も悪運もちゃっかり遺伝してるよ。何度死に掛けたか。
とりあえず、ジオルガの話はおしまい。


俺が生まれる数年前、ロズベルド騎士諸侯領はその頃からあった。
ロズベルドはイー・ヴァー・ディドル帝国の隣国だよ。「獣」の前足から腹部にかけての領地を持っている。…プリム、戦争仕掛けるなら隣の国くらい知っておけよ。
まあ、これが驚いたことにロズベルドの代表・ミュハトルテ家はその頃からあってな…一度も家系が途絶えたことがない。
いい加減あそこも潰れてほしいんだけどな…まったく、何代にも渡って押しかけてきやがって…ぶつぶつ…いや、なんでもない、気にするな。
話を元に戻そうか。
その、ミュハトルテ家の本家には当時、とんでもないお転婆娘がいたんだ。
女のくせに騎士に憧れてて、下手な男より男らしくて、髪なんかばっさばさで…あ、そうそうあのゾナみたいな感じ。
多分見当はつくと思うけれど…それが俺の母親、アイシャ・イシャーク・ミュハトルテ。
その頃18歳だったアイシャは、何をどうやったのかちゃっかり騎士になっていた。
しかも並の騎士じゃ勝てやしない。技術も体術も馬術も人並み以上の能力を兼ね備えた最強の騎士だった。
うん、多分デンも勝てない。絶対勝てない。国一個賭けてもいい、あれは絶対武神の娘だよ、一番ごっつそうなの。
でも、ロズベルドの代表っていうくらいだからミュハトルテ家はかなりの良家だ。
そんな娘がいたら世間体にはちょっとアレだろ?当然、親族全員で騎士を辞めさせるよう色んな手を尽くしたらしい。
けれど、そんな事で辞めないのがアイシャって女だ。いや、もうあれは男だ。男の中の漢だ。
強い強いって言ってきたけど、これがなかなか、頭の回転が速いというか、悪知恵もよく働くらしくて。
それで親族全員と騎士権を賭けて戦ったって話だ。
そうして親族と戦いつつ、騎士として武勲を挙げつつ暮らしている間に、ある男と出会った。
出会った、というより助けた、だな。行き倒れてたんだから。
………。
……………続きは言わないのかって?
ここら辺はあんまり詳しく聞いた事がない。
どこぞの色ボケが話す時に惚気るから途切れ途切れにしか聞いた事がないんだよ。
ったく、どつかれるって知ってて惚気る辺り性質が悪いや。
とりあえず、俺が聞いた限りじゃ親族の陰謀で母さんがどこぞの貴族の家に嫁ぎそうになって、助けられたまま居候していた父さんが龍化して救出して、そのままロズベルドから逃亡したらしい。
はっきり言っちゃ、駆け落ちってやつだな。その後「黒の大地」に落ち着いて、俺が生まれたって話だし。
…ああ、「黒」はその頃も魔物やら魔獣やら沢山いたぞ?人の村だってあった。
人は住めないって言われてるけど、確認されてないだけだ。閉鎖的な空間でちゃんと今も村はある。
ああでも、俺の住んでいた村はもうないけどな。
……神国の元になった組織に、皆殺しにあったから。


俺の出生はもういいな?
父親は龍、母親はヒト。出身は「黒の大地」。
うん、そうだよ、正確には俺は龍族じゃない。獣人みたいに言うなら「半龍」ってとこか。
それでも、父親が銀龍なもんだから下位の緑龍よりも力はある。比べた事ないからわからないけど、どっちかというと銀龍の血が多い。
だから半龍でも守護神の代わりにはなった。犠牲はつくけどな。
…いい、もうわかってるから。皇帝が皆死んだのは俺のせいだって。
さてと、話を続けるか。


黒の大地、今じゃどこにあるかわからない村に、俺の一家は住んでいた。
本当に素朴な村だよ、自給自足の生活をして、魔物対策に薬草を村周辺に生やしたり、強靭な戦士が何人かいたりしたのが変わってる所かな。
俺はそこで平和に、本当に平和に暮らしていた。
父さんとは家事と基礎知識、母さんとは体術と畑仕事。…普通教わるのが間逆だよな…。
まあ父さんは魔力が強いだけでひょろかったし、母さんは見るからにぶきっちょだし…。
…そんな風に、15年の間は「人間」として暮らしていた。
父さんが龍って事は知っていたし、自分も強大な魔力を持っていたことは知っていた。
でも、それまでは何故かヒトと同じように成長していたんだ。
龍の寿命は、最大で二万年にも及ぶはずだ。それが龍の個体数が少ない理由でもあるんだけど。
やっぱり、周りが人間ばっかりだし、自分でも人間寄りなんだろうなって思っていたのが理由かもしれない。
15歳までは、俺は人間として生きて、人間として死んでいくんだと、無意識に思っていたよ。
15歳のある日、村が突然壊滅させられるまでは。


ここで神国の話をしておくか。
って言っても、俺も神国の事はよく知らない。その基盤になった組織の事しか知らないんだ。
その組織は、元々不老不死について研究していた組織だった。
昔は寿命を延ばせる人間なんて両手さえあれば数えられるくらいだったからな、今もそうだけれど。
一部の学説では魔力を生命力に変換できれば延命できるって話があるが…あれ、結構本当だよ。
ある程度、魔力保有の限界を越えると魔力が溢れて、その分が生命力に変換されるらしい。
生命力を魔力に換える魔法があるだろ?あれの逆みたいなものだ、相当限られた人間にしか仕えないけどな。
で、その学説を信じた連中が「組織」。主に魔力の研究をしている。
当然、大量の魔力を必要になる筈だ。そして、大量の魔力を持つものといえば……龍しかいないだろうが。
その組織が、どこで知ったのか「はぐれ龍」の存在を探して…最後に、父さんに辿り着いた。


村はまず、火をつけられた。
住人が次々殺されていった。組織は秘密主義だったから、目撃者は全て抹消した。
母さんは俺と父さんを逃がして、一人で囮になって…殺された。死に際も見れなかった。
そして最後に、二人とも組織に追い詰められた。
父さんを怖いと思ったのは、あの時が初めてだよ。
完全に怒り狂っていた。俺の前で初めて龍化して、そして、捕らえられた。
プリム、神国はここを襲う際に魔術師を捕らえるって言ったな?
ひょっとして魔力制御装置とか持っているか?…そう、それ。
魔法を使う者を相手にする時、魔力制御装置は強力な兵器になる。
それは龍とて同じ。地上最強と謳われた銀龍でさえ、機械には勝てなかった。
当然、その時に俺も捕まった。
最悪だよ。
俺と父さんは別々の部屋に閉じ込められ、実験体にされた。
勿論、龍の魔力を抽出する為だ。
しかし龍は神と同等の力を持つ存在。その為、「完璧な存在」と言われている。
完璧だからこそ、その力の大半を担う魔力を抽出する事は不可能だ。
当時の組織はそんな事すら知らなかった。
ただ、何とかして魔力を抽出しようと、必死になっていた。
そうして、確かにその努力は報われたよ。
龍は完璧な存在であるが、半龍ならばどうか?
答えは簡単だ。完璧じゃないのさ、俺は。


苦心の末、奴等は俺からほんの少しだけ魔力を抽出する事ができた。
その喜びは尋常でなかった筈だ。俺は無理矢理魔力吸われて気分最悪だったけどな。死ぬかと思った。
そして組織の研究者達は更に魔力を手に入れようと、研究対象を完全に俺に向けた。
当然、父さんの方は手薄になる。
そのチャンスを父さんは逃さなかった。
何とか魔力制御装置を破壊して、龍化した後俺を救出してくれた。
そうして俺達は組織から逃げ出せたけど、ずっと実験体にされていたんだ、体力なんてない。
父さんは一人残って囮になり、俺は何とか逃げ切れた。
ここまでが、神国の話。


その後俺はたった一人で生きてきた。
両親がが教えてくれた体術と魔術が一番役に立ったのもその頃だ。
基本的な魔法しか知らなかったけれど、元々持っている魔力が高いから並の魔法使いには負けなかった。
いざという時、体術はとても役に立った。
そうやって、自分の能力を生かして用心棒をしたり、あるいは放浪したり…色々やって、世界の知識を手に入れていった。
その頃の俺は自分の姿を変える魔法なんて知らなかったから、15歳の子供のままやっていくのは辛かったよ。
そのせいで人間不信に陥った事もあった。生きていくことが辛くなったりもした。
でも、そんな生活があったからこそ、俺は今も生きているんだと思う。
生きていく術は、自分で見つけていった。
目立つ事は極力しなかった。また組織に見つかると困るからな。
ひっそりと、仕事を色々変えたり居場所を変えたりして組織の事を調べているうちに、いつの間にか裏の仕事をしていたよ。
人を殺した事なんてもう数えていられない、危険物を運んだことだってある。…まあ、並大抵な事じゃ死にはしないからいいんだけど。
そうやって生きていた頃、俺はシュティーナと出会った。


シュティーナは仕事の関係で知り合った。
ちょっと危ない仕事でさ、シュティーナは情報屋だったんだ。今も移動劇団の団長をしながら情報屋をしている。
で、まあこう言うとなんだけど…シュティーナは裏の世界じゃ噂になっていてな…「魔女」って呼ばれているんだ。
まあ俺はそんな生活を数百年は続けていたし、もうプロだとか玄人だとかそういう言葉は超越していたよ。
二人で仕事をしている間に、シュティーナが本当に「魔女」だって知って驚いたよ。
魔女、その名の通り、魔法を使う女。
シュティーナの場合、魔力を生命力に換えられるってだけなんだけど…まあつまりは、俺以上に生きているってことだ。
シュティーナはシュティーナで、俺が半龍だって知って驚いたみたいだけど。
仕事が終わって、シュティーナは俺を、ある男の所へ連れて行った。
…ん、その男の事は追々わかると思う。今は話さないでおく。
その男も俺よりも長い間、生きていた。
魔法は使えなかったけれど、職業上の関係で色んな魔道書を持っていて、そこから俺は魔法の知識を得た。
そのうち、魔道書を読みに行っていたら、いつの間にかその男の家に居候になっていた。


その後俺はたまに仕事をするだけで、魔法の鍛錬ばかりしていた。
新しい魔法を覚えたり考えたりするのは楽しかったよ。幸い、教えてくれる人はいたし。
その間もシュティーナは男に会いに来ていた。
別に変な関係じゃないからな、商品の受け渡しをするだけだ。
大体あいつは女運がない。ろくな女に会わない。シュティーナもその一人、ろくな女じゃない。
俺のことを生意気だからって鉄拳制裁するんだぜ、指輪は凶器になるって嫌ってくらい知ったよ。
まあそれでも、色んな事を教えてくれたし、あいつに会わせてくれたのも感謝してる。うん、多分。
そうして暮らしているうちに、俺はやがて、ミオという男に出会った。
そして戦争に加担して、帝国を建てて、勝手に守護神なんかにされた。


そうして、今に至る。



***



「…とりあえず、ある程度は話した、これでいいだろ」


シオンはコップに入った水を一気に飲み干した。話すのは喉が乾く行為だ。
ようやく話が終わって、皆は背伸びをしたり考え込んだりと、各々が動き出す。


「なんていうか…さらっと壮大な話を聞いたような…」
「当たり前だ、五千年の歴史だぞ。嫌でもそうならざるを得ないだろうが」
「そりゃそうですけど、それにしても随分と波乱万丈な人生送ってきたんですねぇ」
「そうか?」


相当の時間が過ぎている為、辛かった頃などその内忘れてしまうから。
デンはそれを聞いて、一瞬だけ呆れたような顔を見せたが、直にそれは掻き消えた。
自分だってそう変わらないか。


「ちなみに俺は今でもその組織を追っている。組織があの後壊滅して、そのデータを今の神国が引き継いだみたいなんだけど…」
「神国の事は知っていたんですか?」
「いや、国まで作っているとは知らなかった」


水差しから水を注ぎ、シオンは再び水をあおった。


「その、シュティーナから紹介された男なんだけれど…あいつが昔関係していた「人形」の開発チームがデータを受け継いだらしい」
「「人形」って…魔道人形ですか?」
「いや、「機械人形」…オートドール、とかいうやつだ。今の魔道人形の基礎になっているみたいだけど、元は人間の仕事を手伝う人形として開発していた」
「はぁ…そんなの作れるんですかねぇ」
「実際あるんだから信じるしかないだろ、俺だってちょっと疑っていたよ」


シオンは肩をすくめて、皮肉っぽく笑う。


「それに、あいつは―――」
「ねぇ、シオン、いつまで話続くのよ。待ちくたびれたわ」


ばたん、とシュティーナがドアを蹴って入り込んでくる。
ここは病院だぞ、とか、蹴るなよ、とか突っ込みたい事は山ほどあったが黙っておくことにする。


「話は終わったの?」
「まあ、一応な」
「あ、そ。ならいいわ、話したい事があるの」


つかつかと一直線にベッドまで歩き、腰掛ける。
そして、にこりと笑う。
シオンはすぐさま警戒し、少し身を退く。
こんな風に笑うのは何か企んでいる時だけだ、それも自分が有利になるような。


「何さ」
「さっきマーロザにいる私の下僕から連絡が入ったのよ」
「…その下僕って言い方やめてやれよ、可哀想だ」
「話は最後まで聞きなさい」


ぴしゃりと叱られ、シオンは黙った。
それを確認してシュティーナは口を開く。






「喜びなさい、あなたの大事な皇帝さんが見つかったわ」










錆 色 ノ ス タ ル ジ ア 。





+++
第十三話。
家のパソコンがリビングに置かれてから非常に書きにくい状況になっていました。
仕方なしに学校で書いていたのですが…にゃふから散々突っ込まれましたよ、ええ。
若にも目撃されてました…嗚呼ああ。
これからは忙しいので(普段と変わりませんが)月一の更新になります。
それでもよかったら、どうぞ気長に更新を待ってあげてください。
それと、今回の話は長文だらけで読みにくくてすみません。あんまり面白くないです。
それでは。
07/09/28




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